研究活動における倫理等に関するQ&A
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- 倫理審査とは何ですか?
- 人を対象とする研究の研究責任者は、研究対象者の人権擁護のため、研究の倫理的妥当性および科学的合理性が確保されるように研究計画書を作成し、研究機関の長の許可を受け、計画に即して研究を遂行する必要があります。その研究計画の審査を行うのが研究倫理審査です。
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- どのような場合に倫理審査が必要ですか?
- 日本歯科衛生学会ホームページ内の「倫理審査委員会の審査を要する研究のフローチャート」をご確認ください。
人を対象とした研究はいかなるものであっても倫理的に適切かどうかを判断するため、倫理審査が必要になります。例えば、人から採取した唾液のみを使用した研究であっても、同意の取得状況に加え、唾液採取の方法、身体的、心理的な負担の有無などを審査することになります。
また、アンケートによる調査研究は無記名であっても、研究参加の同意取得や、個人情報の取り扱い等の内容を確認する必要があるため、倫理審査の対象となります。
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- 勤務先に倫理審査委員会がありません。どうすれば審査を受けられますか?
- 勤務先に倫理委員会がない場合は、外部の倫理委員会で審査してもらう必要があります。
本学会では平成26年より「日本歯科衛生学会倫理審査委員会」を設置しています。学会ホームページの「倫理審査申請」に申請の手引きなどが掲載されていますので、必要書類を作成し、ご提出ください。申請から承認までは数カ月の期間がかかることがありますので、時間的余裕を十分にもって申請されることをおすすめします。
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- 倫理講習会はどこでやっていますか?どうやって参加できますか?
- 研究者は年に1回程度、研究に関する倫理等に関する教育・研修を受けなければなりません。
各々の研究機関や学会等の機関で開催される研修会や、eラーニングなどがあります。
研究倫理eラーニングは、時間と場所を選ばずに研究倫理を学修できるよう作成したeラーニング教材です。すべての分野の研究に関わる者が、どのようにして科学研究を進め、社会に対して成果を発信していくのかといったことについて、必要な事柄を整理しまとめたものです。日本学術振興会のホームページから、どなたでも無料で受講できます。
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- 論文投稿したいと思うのですが、どのようにすれば投稿できますか?
- 日本歯科衛生学会雑誌に「投稿規程」および「投稿の手引き」が掲載されています。手引きには投稿方法の概要や投稿原稿の書き方が記載されていますので、その手引きに添って論文を作成・投稿してください。
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- 個人情報の匿名化とはなんですか?匿名化をすれば個人情報について倫理的配慮をしたことになりますか?
- 匿名化とは、個人が特定できないよう、氏名・生年月日・住所等の情報を加工・削除することです。
研究データとして匿名化をしても、匿名加工を行った時点で元の情報から特定の個人を照合できる場合は、本人の同意またはオプトアウト(研究内容の公開と拒否の機会を保証すること)手続きが必要となります。具体的にオプトアウトとは、医院内やウェブサイトに研究内容を記載したポスターを公開・掲示し、自身の情報の利用を望まない場合に研究者に対して拒否を表明できるようにすることです。
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- 利益相反(COI)とは何ですか?
- COI とは、外部から資金や物品提供を受ける研究は公正性に欠けるのではないか、と懸念が生じる事態のことです。具体的には、企業等の営利団体からの資金提供によって実施された医学研究の結果の判断が、資金提供元にとって有利あるいは不利になる可能性がある場合に、公正であるべき研究結果の判断に影響をもたらしかねないと第三者から見て懸念される状況を意味します。当該研究の透明性をはかるためにも資金等の提供元との関係性を明らかにする必要があります。利益相反状態については、学会発表や論文投稿時に所定の形式で開示する必要があり、全ての研究者が対象となります。
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- 利益相反状態にあるかもしれません。研究はできないのでしょうか?
- 利益相反は産学官連携(共同研究、受託研究、寄付金等の受入)による研究を進める上では珍しくなく、それ自体は批判されたり非難されたりするものではありません。法令に違反した状態である研究不正とは全く異なります。利益相反に関する情報を適切に開示し、研究対象者や社会全体に対し責任ある説明をすることが重要です。